What’s MSS

mss=Membrane-type Surface stress Sensor / 膜型表面応力センサ

「理想的な嗅覚センサ素子」MSSは、嗅覚センサに求められる特性を網羅した新たなセンサ素子です。

国立研究開発法人物質・材料研究機構(以下NIMS)国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA)の吉川元起グループリーダー(現 NIMS・機能性材料研究拠点)が、故Heinrich Rohrer博士、およびスイス連邦工科大学ローザンヌ校の秋山照伸博士(現 NanoWorld AG)・Peter Vettiger博士らと共同で、2011年に開発しました。

MSSは、ナノメカニカルセンサの一種であり、従来のカンチレバー型構造では不可能であった高感度化と小型化を両立した新たなセンサ素子です。1 mm2以下の素子で、従来型と比べ約100倍の感度を実現しました。その独特な構造によって、嗅覚センサに求められる各種特性を網羅した理想的なセンサ素子となっています。

ガスを吸着させる感応膜としては、有機・無機・生体材料など、ほとんどすべての材料を利用可能であり、測定対象や測定条件に応じて、柔軟に対応可能です。すでに様々な機能性材料を用いた感応膜が300種類以上開発されており、現在も研究開発が続いています。

また、機械学習と組み合わせる事で、ニオイに含まれる特定情報の高精度定量推定(お酒のニオイからアルコール度数を推定/西洋ナシのラ・フランスのニオイから熟度(硬度)を推定)や、ポンプやバルブなどを必要とせずセンサチップだけでニオイを識別可能な究極の嗅覚センサとなる「フリーハンド測定」も実現しています。

MSSの特徴

  • 【高感度】感応膜次第でガス分子に対してppm以上、生体分子に対してnM以上の感度
  • 【小型】1チャンネルが1mm²以下、つまり1cm²に100チャンネル以上集積可能
  • 【多様性】有機・無機・生体系など、様々な感応膜を利用可能
  • 【室温動作】感応膜次第で高温動作も可能
  • 【低コスト】シリコン製のため大量生産可能
  • 【低消費電力】1チャンネル当たり1mW 以下
  • 【高速応答】ガスの流量次第で1秒以下の応答も可能
  • 【安定性】熱的・電気的・機械的に安定
  • 【両面被覆対応】ディップコーティングも可能

MSS紹介動画

MSSとは(5分動画)
BSフジ「ガリレオX」

(2017年11月26日(日)11:30~12:00放送分)